営業職のKPI設定は誰のためのもの

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近年、目標予算に対して、KPI ( key performance indicator)を設定、管理する企業も増えてきましたが、営業職におけるKPI設定はいったい誰のためのものなのでしょうか。

KGI/KPIとは

KGI (Key Goal Indicator)は最終的な定量的目標のことを指し、KPIはKGI実現に必要な指標のことを表します。

営業職の場合、上図のようにKGI=(受注)予算となる場合がほとんどと言ってもいいのではないでしょうか。

そして受注達成のための指標をブレイクダウンしたものが、それぞれのKPIとして設定されていきます。(例:見積提出額、デモ回数、入札参加回数、提案回数 etc)

稀にKPIをKey Process Indicatorと読み替える方もいるように、目標達成への行動計画(過程)を指標化し定量的に評価していきます。

正しいKPIが設定されているのか

営業のパイプライン管理と手法は近いものになりますが、営業プロセスを分解し、それぞれの段階での目標を設定するため、前述のような見積、提案、訪問など各営業フェーズでどれだけ活動していたかを問われる指標が設定されます。

ただ、これらは担当個人で見た場合に本当に正しいのでしょうか。

受注直前のプロセスとして受注目標の3倍~4倍の数字を見積額のKPIとして設定する方をよく見ますが、極論を言えば見積提出は顧客の要望がなくとも、こちら側の一存で提出できてしまいます。そのような形で達成したKPIに果たして意味はあるのでしょうか

営業力=クロージング力

私見ですが、営業力とは案件をクロージングする力だと思っています。

どれだけ提案を行って、見積を積み上げたとしても受注に繋がらないものは無意味です。受注しない場合でも、割の合わない案件は辞退や撤退を速やかに行うこともクロージング力だと思っています。そうすることで、重要案件にリソースを集中し受注確率を上げることができるのです。

以前の職場の先輩の話ですが、お客からお願いされるまで見積を出さないという人がいました。

本人は無駄な事務作業が嫌いなだけと仰っていましたが、その方の場合、ほぼ見積額=受注額になり前述のようなKPI設定は意味のないものになってしまいます。

個人でのKPI設定は意味があるのか

KGIからKPIを設定する際には、営業プロセスにおける、各フェーズ間の進展率を統計的な前提条件として設定していきます。そうする大型案件が多く、受注数が少ない人ほど統計的誤差が大きくなり、KPIは達成出来ていないけれど、予算は達成しているという状態が発生します。

この営業プロセスにおける進展率(例:見積→受注が50%)は個人の能力や営業スタイルによって異なるため、同一の指標を使うと人によってKPIの達成難易度に差が出てしまいます。

KPIが必要な理由

ここまで書くとKPIが不要のような書き方をしましたが、必要な理由も考えてみたいと思います。

予算未達時のエクスキューズ

担当個人としては、これが一番大きな理由になり得ます。

予算は行かなかったけれどもここまで頑張りました。という言い訳のための指標です。

教育目的と標準化のため

そして一つ目の延長にある教育目的です。

なぜ予算が達成できなかったのか。という振り返りだけだと、課題への理解が浅くなります。

課題を振り返る対象をKPIへ落とし込むことで、それぞれのKPIに対して、なぜできなかったのか。
達成しているのに、上位のKPIが達成できないのは何故なのかと体系的に振り返ることができ、営業プロセスの理解と自己の課題理解の一助となります。

また、営業プロセスを理解し、自社のビジネスモデルに必要なスキルを理解することで、会社全体の営業プロセスを標準化することができます。

予算管理のため

担当個人で見ると統計的誤差が大きくなる可能性がありますが、組織が大きければ大きいほど、組織全体での統計的誤差は小さくなります。

そうすると過去実績から各営業プロセスにおける進展率も妥当性のある数字が弾き出すことが可能となり、半年先、一年先の受注見通しを立てることが可能となります。

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