BANT条件が揃ってからでは遅い理由

マーケティング

BANT条件とは

BANT条件とは予算(Budget)、決裁権(Authority)、必要性(Needs)、導入時期(Timeflame)の頭文字をとったもので、営業の際の基本的なヒアリング事項とされるものだ。

BANT条件=案件化?

またインサイドセールスを設ける場合に、インサイドセールスからフィールドセールスへの案件受け渡し条件として、この”BANT条件が揃うこと”とされる場合も多い

このように”案件化”のシグナルとしてBANT条件が利用する場合、次のようなメリット・デメリットが存在する

メリット

フィールドセールスは確実に案件が存在している状態で顧客へアプローチができる。導入時期も予算もある状態から商談が始まるので、具体的にクロージングへのシナリオを描きやすく、フィールドセールスへの動機づけがしやすい。

そのため、いわゆるマーケティングと営業での軋轢というのが生じにくい

デメリット

デメリットとしてはフィールドセールスへ共有するleadの絶対数が減ること、さらにはインサイドセールス部隊を含めマーケティング側に相応のリソース負担が必要となる。

傾向として、インサイドセールスをフィールドセールスへのSTEPとして捉えた組織では、インサイドセールスにリソースを多く割けるため、このような運用になることが多い

それ以前に案件化している!?

商材にもよるので一概には言えないが、一定以上の複雑性、専門性をもつシステムや、設備の場合BANT条件が揃ってから営業を開始しても手遅れの場合がある。それは何故だろうか

予算 Budget

専門性の高い設備の場合、まずユーザー(発注者)だけの能力での費用見積が難しい場合があります。

この場合、専門の業者に見積を依頼するわけですが、その見積も単純に部品の数などから見積もることは難しく、個別に要件確認をし見積を作成し、その見積を基準に予算申請を行います。

つまり、予算申請の段階で、すでに仕掛けている業者が存在しているのです。

決裁権 Authority

BANT条件はもともと欧米のマーケティングで考えられた枠組みです。トップダウンで物事が決まる傾向にある外資とは異なり、日本企業の多くではボトムアップで物事が決まる傾向にあります。

仮に方針自体はトップダウンで「〇〇をやるぞ」と決まったとしても、実際に仕様を決め、どの業者/メーカーを使うかは多くの場合、課長級、主任級と言われる現場リーダーが実質的な決定権を持っています。日本企業の場合はこのように組織としての決裁権者と実質の決定権者が異なるので”決裁権を誰が持っているか”はさほど重要ではない傾向があります。

必要性 Needs

これが無いと始まらない。ただ、大人の事情でNeedsが無いのに始まる案件もあったりします。

そして、そういうのは往々にしてトラブります。

またNeedsとしてユーザー側で顕在化してからだと、競合も含めて横並びの競争が開始するので、Seeds段階からアプローチするのが競争優位を保つためには理想ですが、絡む新規案件と考えると、Needsとして顕在化してからでなければ動けないというのも実情かと思います。

導入時期 Timeflame

一番重要かもしれません。

まず導入時期が決まっていないというのは、必然的に必要性も低い場合が多く、結果的にクロージングまで時間がかかる場合が多くなります。

また仮に予算が取れていなくても導入時期が決まっている場合があります。そのような場合の多くは外的要因(事故や災害)によって、突発的に優先度が上がったものになります。

こういった突発的な案件は、クロージングも早くスピード勝負になり、新規参入の糸口をつかむ機会となり得ます。

まとめ

このように国内、特に大型のBtoB案件に関して言えば、BANT条件が揃っていることと、実案件が実行に移される理由に乖離があり、Aが不明、Bが不明など、BANTのうち1,2個が不明確な段階からアプローチを開始しなければ、競合には競り勝てないという現実があります。

マーケティングとフィールドセールスの間で一定のlead受渡ルールは必要ですが、客筋や商材によっては条件を緩めたり、絞ったりといった柔軟な運用が重要になってくると考えられます。

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